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NEWS不動産相続のトラブルは「分け方」次第。問題を抱える前に知りたい回避策のすべて

不動産相続では「争続」という言葉が生まれるほど、親族間のトラブルが頻発しています。現金のように単純に分割できない不動産が絡むことで、「誰が住むのか」「どう評価するのか」といった複雑な問題が絡み合うためです。
佐賀で不動産相続の相談に数多く携わってきた株式会社MREでは、問題が深刻化する前の適切な対策が何よりも重要だと考えています。この記事では、トラブルを未然に防ぐための具体的な回避策を網羅的に解説していきます。
なぜ不動産相続はトラブルになるのか?現状と課題
不動産相続がトラブルの温床となる理由は、不動産という財産が持つ「分けられない」という根本的な性質にあります。
不動産特有の「分けられない」問題
現金は簡単に分割できますが、5,000万円の一戸建てを物理的に半分にすることはできません。
主な課題: - 代償金を支払う複雑な調整が必要 - 資金力がなければ希望通りの相続が実現できない - 「実家を残したい」vs「現金化したい」で意見が対立
相続人の間で異なる「価値観」と「期待値」
不動産の評価額に対する認識の違いも大きな問題です。
評価方法による違い: - 相続税路線価: 相続税評価に使用される基準で、公示地価等を基に設定 - 固定資産税評価額: 自治体が公示地価等の7割を目途に評定(地域・時点で変動) - 実勢価格: 実際の市場価格
相続税路線価は公示地価等を基準に設定される相続税評価で、時価の○%と固定的に決まるわけではありません。固定資産税評価額は、公示地価等の「7割を目途」に評定される運用が示されていますが、地域・時点で変動します。実務では路線価図・評価証明・複数査定・鑑定を組み合わせて時価感を把握します。
評価方法によって数百万円から数千万円の差が生じ、どの方法を採用するかで各相続人が受け取る金額が変わります。
知識不足が招く「争続」
相続のルールや税制特例を知らないことで、トラブルが発生します。小規模宅地等の特例、遺留分、相続登記の義務化など、基本知識の欠如が感情的な対立へと発展する原因となります。
「揉めない分け方」の基本原則と具体的な手法
法定相続分と遺言書の効力
配偶者と子どもが相続人の場合、配偶者が2分の1、子どもたちで残りの2分の1を均等に分けることになります。
遺言は原則優先されますが、遺留分(侵害額の金銭請求)が認められる範囲があります。公正証書遺言は検認不要、自筆証書遺言も「法務局保管制度」を利用すれば検認不要で、紛失・偽造防止の点でも有効です。遺言書があれば相続人間の話し合いが不要になり、トラブル回避の強力な手段となります。
出典: 遺留分制度の見直し|法務省
不動産を公平に分ける4つの分割方法
| 分割方法 | 内容 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
|
現物分割 |
不動産をそのまま分ける |
売却不要/分筆に費用、建物では不可能 |
|
代償分割 |
特定の相続人が取得し金銭で清算 |
維持と公平性の両立/資金力が必要 |
|
換価分割 |
売却して現金で分配 |
最も公平/売却に時間、思い入れ喪失 |
|
共有分割 |
共有名義にする |
結論先送り/将来トラブルの温床 |
代償分割は実務でよく用いられる方法の一つですが、最適な分け方は財産構成や資金事情、相続人間の合意状況で異なります。
共有分割は、管理行為には持分過半数、変更行為には原則全員同意が必要となり、人数が増えるほど意思決定が難航しやすい特徴があります。
出典: 遺産分割の方法|裁判所
✓ポイント: 代償分割を成功させるには、複数社(3社程度)の査定で適正評価を行い、代償金の資金計画(借入や分割払い)を事前に準備することが重要です。
問題を抱える前に!今日からできるトラブル回避策
生前の意思疎通と情報共有の徹底
生前からの家族間コミュニケーションが最大の予防策です。親の意向と相続人の希望をすり合わせる「家族会議」を開くことで、将来の対立を大幅に減らせます。
家族会議で共有すべき情報: - 所有不動産の一覧と評価額 - 誰に引き継がせたいかという意向 - 各相続人の希望(引継ぎ意思、代償金支払能力など)
全員が同じ情報を持ち、同じテーブルで話し合うことが、疑心暗鬼を防ぐ鍵となります。
「遺言書」の作成と活用
遺言書の種類: - 自筆証書遺言: 手書きで作成。費用不要だが形式不備のリスクあり。法務局保管制度で安全性向上 - 公正証書遺言: 公証人が作成。形式不備や紛失リスクなく、法的確実性が高い
「付言事項」で分け方の理由を説明することで、相続人の納得感を高められます。
出典: 自筆証書遺言書保管制度|法務省
専門家への相談と活用
専門家の役割: - 弁護士: 相続人間の対立、遺言書の効力確認、遺留分請求 - 税理士: 相続税申告、節税対策、特例の適用判断 - 司法書士: 相続登記(相続で所有権取得を知った日から3年以内、正当な理由がなければ過料最大10万円)、書類取得 - 不動産鑑定士: 適正な評価額算定 - 相続対策専門士(不動産コンサルティングマスター): 遺産分割、納税資金確保、相続税節税など不動産相続に関する提案(売却、再生、新築、買い換えなどの手法で提案)
相続税の申告は相続開始の翌日から10か月以内に行う必要があります。
出典: 相続登記の申請義務化|法務省
不動産の整理・売却の検討
管理困難な不動産は生前に処分することも有効です。地方の空き家、使わない別荘、活用見込みのない農地などは事前に売却しておくことで、相続財産をシンプル化し、トラブルの種を減らせます。
もし揉めてしまったら?対処法と解決までの流れ
当事者間での話し合い(遺産分割協議)
相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産を相続するかを決めます。
円滑に進めるポイント: - 感情的にならず、データに基づき冷静に進める - 不動産評価は複数社の査定結果を基準にする - 必要に応じて専門家に同席してもらう
全員が合意すれば「遺産分割協議書」を作成し、署名・押印します。
専門家を交えた調停・審判
話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所での「遺産分割調停」を申し立てることができます。調停では裁判官と調停委員が仲介し、合意形成を目指します。それでも合意しない場合は「審判」に移行し、裁判官が分割方法を決定します(法的拘束力あり)。
泥沼化を避けるための心構え
感情的な対立が長期化の最大の原因です。「解決」を最優先に考え、全員が納得できる着地点を見つけることに集中します。期限(相続税申告10ヶ月、相続登記3年)を共有し、「それまでに解決しなければならない」という共通認識を持つことも重要です。
まとめ
不動産相続のトラブルは、「分け方」と「事前の準備」に集約されます。相続が発生してから慌てるのではなく、生前の意思疎通と適切な専門知識を持って計画的に進めることが重要です。
トラブル回避のための実践ポイント: - 家族会議を開き、全員で情報を共有する - 遺言書を作成し、付言事項で理由を説明する - 専門家(弁護士・税理士・司法書士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士)に早めに相談する - 管理困難な不動産は生前整理を検討する
「うちは大丈夫」という根拠のない自信は、最もリスクが高いといえます。実際には、どんな家族でも相続をきっかけに対立する可能性があります。
佐賀で不動産相続に関する問題解決に携わる株式会社MREでは、相続前の計画立案から相続後の手続きまで、幅広いサポートを提供しています。円満な相続こそが、残された家族にとって何よりの財産となります。不動産という形ある資産だけでなく、家族の絆という形なき財産を次世代へ引き継ぐために、今できる準備を始めていただきたいと考えています。

