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NEWSなぜ相続トラブルは「重要事項説明」で起きるのか?事例で学ぶ不動産相続対策

なぜ相続トラブルは「重要事項説明」で起きるのか?事例で学ぶ不動産相続対策

「実家を相続したが兄弟間で揉めている」「親の不動産相続でトラブルは避けたい」――不動産の相続は、多くの人にとって一生に一度の大きなライフイベントです。

佐賀で不動産相続のご相談を数多く承ってきた株式会社MREでは、売却時に直面する「重要事項説明」のプロセスが、潜在していた家族間の不和を顕在化させ、深刻な相続トラブルに発展するケースを多く目にしてきました。

なぜ「重要事項説明」が相続トラブルの引き金になるのでしょうか?それは、この段階で買主への説明を通じて、明確な金銭的価値や物件の「負」の情報(境界不明、私道負担など)が示され、相続人それぞれの「期待値」や「認識の違い」が浮き彫りになるからです。

この記事では、重要事項説明が原因で起きる相続トラブルの典型的な事例を基に、その発生メカニズムとトラブルを未然に防ぐための具体的な対策を解説します。

重要事項説明が「争族」の引き金になる理由

重要事項説明が相続トラブルの発火点になる――この事実を知っておくだけで、多くのトラブルは回避可能です。まずはなぜこのタイミングで問題が顕在化するのかを理解していきましょう。

 

相続発生から売却・活用までの一般的な流れ

不動産を相続してから売却に至るまでには、以下のような段階があります。

【遺産分割協議】 - 相続人全員で不動産をどう分けるか話し合う - 「実家だから大切にしたい」「良い場所だから高く売れるはず」といった漠然とした認識で合意 - 具体的な金額や条件までは詰めないケースがほとんど

【媒介契約】 - 不動産会社に売却を依頼 - 査定額を見て相続人間で評価が分かれることもあるが、まだ表面化しない

【重要事項説明】 - 宅地建物取引士から(本来は買主側に対して)法律に基づいた詳細な物件情報が開示される - 実務では売主側である相続人も同席することが多い - この場で初めて境界や法令上の制限などの「負の情報」を知って驚くケースが少なくない

 

なぜ「重要事項説明」のタイミングで揉めるのか

重要事項説明の段階でトラブルが表面化する主な理由は、以下の3つです。

1. 不動産の価値が明確になる

査定額は参考値にすぎませんが、重要事項説明で示される物件の状態や法的制限は、実際の取引価格に直結します。「こんなに価値が下がるなんて聞いていない」という相続人の落胆が、他の相続人への不信感に転化することが少なくありません。

2. 法律に基づいた客観的事実が明らかになる

境界未確定、再建築不可、私道負担あり違法建築物――こうした情報は感情論では覆せない事実として突きつけられます。これまで「きっと大丈夫」と思い込んでいた相続人にとって、現実とのギャップは大きな衝撃です。

3. 相続人ごとの期待値のギャップが浮き彫りになる

同じ不動産でも、そこで育った長男と遠方に住む次男では思い入れが異なります。具体的な条件が示されると、次のような意見の相違が生まれがちです。

  • 「早く現金化したいから価格を下げても良い」
  • 「もう少し待てばもっと高く売れる」
  • 「思い出の家だから売りたくない」

 

相続人が知っておくべき「重要事項」の基本項目

トラブルを避けるには、重要事項説明で何が開示されるかを事前に理解しておくことが重要です。

宅地建物取引業法35条で定められた重要事項を中心に、買主の判断に重要な影響を与える事項について説明が求められます。

法定の重要事項(主なもの) - 物件の所在地や面積などの基本情報 - 登記簿上の権利関係(所有権、抵当権の有無) - 都市計画法や建築基準法などの法令上の制限 - 境界の確定状況 - 私道負担や通行権などの権利関係 - インフラ状況(上下水道、電気、ガス)

取引によっては説明義務が生じる事項 - 建物の耐震性 - 過去の修繕履歴 - 設備の不具合や瑕疵

これらの情報について相続人全員が事前に認識を共有しておくことで、重要事項説明の場での意見対立を最小限に抑えられます。

✓ ポイント: 重要事項説明は買主保護のためのプロセスですが、売主である相続人も同席することで初めて物件の真の状態を知ることになります。事前の情報共有と認識合わせが円満相続の鍵です。

参考: 重要事項説明に必要な要素|国土交通省

 

事例で学ぶ!重要事項説明が引き起こした相続トラブル

具体的な事例から学ぶことが、最も効果的なトラブル回避策です。ここでは実際に起こりがちな3つのパターンを見ていきましょう。

【事例1】想定外の「負動産」発覚ケース

Aさん(長男)は父親から「駅から近い良い土地」と聞かされ、高値で売却できると期待していました。遺産分割協議では兄弟3人で合意し、長男が代表として売却手続きを進めることに。

ところが重要事項説明の段階で、この土地が「再建築不可物件」であることが判明します。建築基準法上の接道義務を満たしておらず、原則として現在の建物を取り壊すと新たな建物を建てることができないのです。

買い手は限られ、市場価格は当初予想の半額以下に。次男と三男は「話が違う!」と長男を責め、長男は「父から聞いていた話と違う」と反論します。責任のなすりつけ合いが始まり、売却は1年以上ストップ。その間の固定資産税や管理費用の負担をめぐって新たな対立が生まれました。

✓ ポイント: 「良い土地」という主観的評価と、法的・市場的評価は別物です。相続前の段階で専門家による現状調査を行い、客観的な価値を把握しておくことが重要です。

参考: 再建築不可とは?接道2m・4m道路・43条許可・調べ方の3手順|みんなの不動産

 

【事例2】境界線をめぐる隣人トラブル化ケース

Bさん姉妹は母親が遺した実家を売却することで合意し、遺産分割協議も和やかに終えました。買主も見つかり順調に進んでいたかに見えました。

しかし重要事項説明の準備段階で測量を行ったところ、隣家との境界が曖昧であることが判明します。隣地所有者との立会いで意見が食い違い、確定測量が完了しないまま時間が経過。買主は境界が確定するまで購入を待つと告げ、売買契約は凍結状態に。

境界確定測量には追加で30万円以上の費用がかかることが分かり、「誰がその費用を負担するのか」で姉妹間に亀裂が入りました。さらに隣地所有者との交渉を誰が担当するかでも意見が対立し、当初の和やかな雰囲気は完全に失われました。

✓ ポイント: 境界の問題は相続前に解決しておくべき最優先事項です。親の世代で隣人と良好な関係があるうちに境界確定を済ませておくことで、後のトラブルを大幅に減らせます。

 

【事例3】共有名義が招く意見対立ケース

C家では、不動産を兄弟姉妹4人の共有名義で相続しました。「みんなで平等に」という考えからの選択でしたが、これが後に大きな問題を引き起こします。

売却を進める段階で、重要事項説明をもとに買主から価格交渉と引き渡し時期の調整を求められました。長男は「早く現金化したいから価格を下げても良い」、次男は「もう少し待てばもっと高く売れる」、長女は「思い出の家だから売りたくない」、次女は「自分だけ遠方に住んでいるから決められない」と意見がバラバラに。

共有名義の不動産を売却するには全員の同意が必要です。しかし4人の意見がまとまらず、買主は待ちきれず別の物件購入を決定。せっかくの売却機会を逃してしまいました。

なお、法的には、自分の共有持分だけを第三者に売却することも可能です。ただし、その場合は新たな共有者が入ってくることで、かえって関係が複雑化するおそれもあるため、相続トラブルの予防という観点からは慎重な判断が必要です。

✓ ポイント: 共有名義は一見公平に見えますが、意思決定の複雑さから「争族」の温床になりがちです。遺産分割の段階で換価分割や代償分割も検討し、単独名義での相続を優先することが賢明です。

参考: 共有名義の不動産は売却できる? 方法やトラブル対処法を解説|朝日新聞社「相続会議」

 

トラブルを未然に防ぐための具体的な対策ガイド

トラブルは事後対応より事前予防が圧倒的に効果的です。相続前と相続後、それぞれの段階でできる対策を見ていきましょう。

相続「前」の対策:親世代・子世代でできること

最も効果的なのは、親が元気なうちから家族で不動産について話し合うことです。

生前からの家族会議で確認すべきこと - 現在の不動産の状況(築年数、修繕履歴、権利関係) - 親の意向(誰に継がせたいか、売却してほしいか) - 各相続人の希望や状況(住む予定、資金需要)

「縁起でもない」と避けがちな話題ですが、親世代からオープンに話すことで、子世代も本音を言いやすくなります。年に一度、正月やお盆の集まりの機会を利用して、段階的に話し合いを深めていくのが現実的です。

不動産の現状把握でやるべきこと - 簡易査定で市場価値の目安を知る - 権利証や登記簿謄本を確認する - 境界標の有無を確認し、必要なら確定測量を実施する - 建物の状態を専門家にチェックしてもらう

これらの作業を相続前に済ませておくことで、重要事項説明の段階での「想定外」を大幅に減らせます。

専門家への早期相談先 - 税理士: 相続税の試算と節税対策 - 司法書士: 登記や遺言書の作成 - 不動産エージェント: 物件の評価と活用方法

複数の専門家に相談することで、包括的な相続プランを立てることが可能になります。

 

相続「発生後」の対策:遺産分割協議での工夫

相続が発生した後でも、遺産分割協議の段階で工夫することでトラブルを回避できます。

分割方法の選択肢 - 現物分割: 不動産をそのまま誰かが相続する - 換価分割: 売却して現金で分ける - 代償分割: 一人が相続し、他の相続人に金銭を支払う

それぞれの相続人の状況(居住予定、資金需要、税負担)に応じた柔軟な選択が、納得感を高めます。

重要事項説明を想定した事前合意の例 - 「再建築不可だった場合は価格を見直す」 - 「境界未確定なら測量費用は売却代金から支払う」 - 「想定外の修繕費が発生したら相続人で按分する」

こうした条件を遺産分割協議書に盛り込んでおくことで、後の揉め事を防げます。ただし、完璧な事前合意は難しいため、「想定外の事態が判明した場合は改めて協議する」という柔軟性条項を入れておくことも一案です。

 

不動産会社・専門家の選び方

トラブル回避には、相続案件に精通した専門家の選択が極めて重要です。

信頼できる専門家の選定ポイント - 相続案件の実績が豊富で、複雑な権利関係にも対応できる - デメリットも含めて透明性の高い情報提供を行う - 相続人全員に対して公平な立場でアドバイスできる - 税理士や司法書士など他の専門家とのネットワークがある - 地域の市場動向に精通している

安易に「高額査定」を提示する業者には注意が必要です。相続案件では正確な情報開示と、全相続人の納得を得るプロセス管理こそが重要であり、一時的な高評価よりも長期的な信頼関係を重視する業者を選びましょう。

佐賀エリアの相続不動産については、地域特性を熟知し、相続人間の調整にも慣れた専門業者に相談することで、スムーズな解決が期待できます。

✓ ポイント: 事前準備の質が円満相続を左右します。「まだ早い」と思わず、親が元気なうちから、また相続発生直後から、専門家を交えた計画的な対応を心がけることが大切です。

 

もしトラブルになってしまったら?解決への道筋

万が一トラブルが発生しても、適切な対応で解決の道は開けます。段階的なアプローチを見ていきましょう。

冷静な話し合いの場の設定

まずは感情的にならず、冷静に話し合う場を設けることが最優先です。

建設的な話し合いのポイント - トラブル発生直後は避け、一度冷却期間を置いてから協議する - メールや電話だけでなく、可能な限り対面で行う - 議論の内容を議事録として記録し、合意事項を明文化する - 感情論ではなく、事実とデータに基づいて議論する

顔を見て話すことで誤解が減り、相手の真意が伝わりやすくなります。また、議事録を残すことで、後の「言った言わない」のトラブルを防げます。

 

弁護士や家庭裁判所の「遺産分割調停」の利用

当事者間の話し合いで解決しない場合は、弁護士への相談や、家庭裁判所の「遺産分割調停(家事調停)」の利用を検討します。

弁護士に相談することで、法的な観点から解決策を提示してもらえますし、相続人それぞれが別の弁護士を立てることで、公平な交渉が可能になります。

遺産分割調停では、裁判官と調停委員会(調停委員)が中立的な立場から双方の話を聴き、合意形成をサポートしてくれます。訴訟と比べて時間も費用も抑えられ、家族関係への影響も最小限に抑えられる点がメリットです。

参考: 遺産分割調停|裁判所

 

最終手段としての共有物分割訴訟

どうしても合意に至らない場合、共有物分割訴訟という法的手段があります。これは裁判所に共有状態の解消を求めるもので、裁判所が強制的に分割方法を決定します。

裁判所が決定する分割方法 - 現物分割: 物理的に土地を分ける - 代償分割 一人が取得し、他に金銭を支払う - 競売分割(換価分割): 競売で売却し、代金を分ける

ただし、共有物分割訴訟は家族関係の決定的な断絶を意味するため、本当に最後の手段として考えるべきです。訴訟に至る前に、改めて弁護士を通じた和解交渉を試みるなど、関係修復の可能性を探ることが望ましいでしょう。

✓ ポイント: トラブル解決には段階的アプローチが効果的です。まずは冷静な話し合い、次に専門家の介入、そして最終的な法的手段という順序で、常に関係修復の可能性を残しながら進めることが重要です。

 

まとめ:知識と準備が「円満相続」への鍵

重要事項説明は、隠れていたリスクを顕在化させる重要なプロセスです。このプロセスを恐れるのではなく、事前に情報を共有し、家族で納得解を見つける努力が不可欠です。

本記事で見てきたように、相続トラブルの多くは「想定外」から生まれます。再建築不可、境界未確定、共有名義の弊害――これらは重要事項説明で初めて明らかになるのではなく、実は相続前から存在していた問題です。事前の調査と家族間の情報共有によって、多くのトラブルは回避できます。

佐賀エリアで不動産相続にお悩みの方は、株式会社MREまでお気軽にご相談ください。相続案件に精通した専門家が、権利関係の調査から遺産分割のアドバイス、売却サポートまで、トータルでサポートいたします。

最後に、専門家を味方につけ、感情的にならず冷静な対応を心がけることの重要性を強調しておきます。不動産は家族の思い出が詰まった大切な資産ですが、同時に経済的価値を持つ「財産」でもあります。感情と理性のバランスを保ちながら、全員が納得できる解決策を見つけることが、真の意味での「円満相続」への道です。

相続は準備次第で、トラブルから「家族の絆を深める機会」へと変えることができます。

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