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高齢者を狙った「不動産押し買い」を行う悪質業者にご注意ください!

「実家に見知らぬ不動産業者が突然訪ねてきた」「しつこく買取の電話がかかってくる」——離れて暮らす親御さんからこんな話を聞いて、ふと不安がよぎった経験はないでしょうか。近年、高齢者を狙って自宅や土地を強引に買い取ろうとする「不動産の押し買い」が全国で相次ぎ、社会問題になっています。佐賀で不動産の相談・売却サポートを手がける株式会社MREでも、こうした強引な勧誘に不安を感じる方からご相談をいただくことがあります。

厄介なのは、被害に遭った本人が「だまされた」と気づきにくく、一度契約すると失う金額が非常に大きいことです。この記事では、悪質業者の代表的な手口から、被害を防ぐ具体策、契約してしまったときの正しい対処法までを整理します。特に、多くの方が誤解しがちな「不動産の押し買いにクーリング・オフは使えるのか」という論点は、法律に沿って正確にお伝えします。

高齢者を狙う「不動産押し買い」とは?

不動産の押し買いとは、売却の相談も査定の依頼もしていない家庭に業者が押しかけ、自宅や土地を強引に買い取ろうとする行為を指します。相手に断る余裕を与えず、その場で契約まで持ち込むのが特徴です。判断力や体力が衰えがちな高齢者は、まさにこの「断り切れなさ」を狙われています。

各地の消費生活センターには、勧誘した覚えのない自宅マンションの売却契約を結ばされ、解約に高額な違約金を請求されたといった相談が寄せられています。押し買いは遠い世界の話ではなく、すぐ隣の実家で起こりうる身近なトラブルだと考えておいたほうが安全です。

突然の訪問や電話で強引に買取を迫る手口

押し買いの入り口は、たいてい「アポなしの訪問」か「一方的な電話」です。こちらが望んでもいないのに接触してくる時点で、まっとうな取引とはかけ離れています。

業者は「この地域の物件を探している」「今すぐ現金化できる」といった調子のよい言葉で距離を詰めてきます。高齢の親が一人で在宅する時間帯を狙う例も珍しくありません。頼んでいないのに向こうから売却話を持ちかけてくる業者は、まず疑ってかかる——この一点を家族で共有するだけでも、被害の入り口をふさげます。

相場を大きく下回る安値で契約させられる危険

押し買いで最も深刻なのが、価格の問題です。急かされて契約させられた結果、本来の相場を大きく下回る金額で自宅を手放してしまう被害が後を絶ちません。

通常の売却なら、複数社の査定を比較し、時間をかけて価格の妥当性を見極めます。ところが押し買いでは、比較する余裕も、根拠を確かめる時間も奪われます。業者が買主として買取価格を提示する場合、売主が納得できる詳細な相場根拠まで常に示されるとは限りません。だからこそ、提示額をその場で鵜呑みにせず、複数社の査定や周辺相場と照らし合わせることが欠かせません。一度契約を結べば所有権は相手に移り、あとから「安すぎた」と気づいても取り戻すのは容易ではありません。

「リースバック」を悪用したケースにも注意

近年目立つのが、「リースバック」を悪用した押し買いです。リースバック自体は、自宅を売却して現金を得たあと、その家に賃貸で住み続けられる正当なサービスで、使い方によっては有効な選択肢になります。

問題は、この仕組みを悪用した勧誘です。「売っても今の家に住み続けられる」と安心させたうえで、著しく低い金額で買い取り、不利な条件の賃貸借契約を結ばせる事例が報告されています。所有権は失われ、毎月の家賃が発生します。さらに、定期借家契約などの場合は、契約期間の満了後に再契約できず、退去が必要になる可能性もあります。「住み続けられるから安心」という言葉の裏に、こうしたリスクが隠れている点は見落とせません。

✓ポイント
押し買いは「頼んでいないのに向こうから来る」「相場より安い」「今すぐ契約を迫る」の三つがそろいやすい共通点があります。この三拍子を感じ取れれば警戒スイッチを入れられます。親御さんと「こういう話が来たら一度立ち止まる」と事前に約束しておくことが、何よりの予防になります。

参考:強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!|独立行政法人国民生活センター

悪質業者がよく使う「押し買い」の代表的な手口

被害を防ぐには、相手の常套手段を先に知っておくのが近道です。押し買いの手口には一定のパターンがあり、型を覚えておけば早い段階で「これはあの手口だ」と気づけます。代表的な流れを整理すると、次のようになります。

※表を左右スクロールでご覧ください。

段階 業者の手口 危険なサイン
接触 不動産業者を名乗って突然訪問・電話(別の用件を装う場合もある) 頼んでいないのに接触してくる
侵入 「玄関先で」と言いつつ家の中へ上がり込む 目的をすり替えて室内に入ろうとする
圧迫 その場で署名・捺印を急がせる 「今決めないと損」と即決を迫る
居座り 長時間居座り、威圧的な態度をとる 帰ってほしいと言っても帰らない

接触から契約までを一気に進めるのが押し買いの型です。順を追って見ていきます。

「玄関先だけ」と言って家の中へ上がり込む

最初の狙いは、玄関の内側に入り込むことです。悪質な勧誘では、不動産業者を名乗って突然訪問・電話してくるケースが中心ですが、なかには不用品買取などの別の用件を装って接触してくるケースもあります。いずれにせよ、「玄関先で少しだけ」と言いながら家に上がり込み、少しずつ売却の話へ誘導していくのが常套手段です。目的をはっきり説明せず室内へ入ろうとする相手は要注意です。一度招き入れると、長時間居座られて断りにくい状況に追い込まれてしまいます。

考える隙を与えず、その場での署名・捺印を急がせる

室内に入り込んだ業者が次に狙うのは、「冷静に考える時間」を奪うことです。じっくり検討する余裕があれば不利な契約は避けられるため、悪質業者はその余裕を与えません。

「今日中なら特別価格」「この条件は今だけ」といった言葉で即決を迫り、その場での署名・捺印へ押し込んでいきます。しかし、数千万円が動く取引を、その日のうちに一人で決めなければならない理由など存在しません。急かされたら、それ自体が危険信号だと受け止め、いったん席を立つ勇気が身を守ります。

長時間居座ったり、威圧的な態度で恐怖心を煽ったりする

それでも断る相手には、心理的な圧力をかけてきます。押し買いの相談では「帰ってほしいと言っても帰らない」「何時間も居座られた」という声が目立ちます。

長時間の居座りや大きな声、威圧的な物言いは、相手を疲れさせ、判断力を鈍らせるための手口です。とりわけ一人暮らしの高齢者にとって、この状況は大きな恐怖になります。「早く解放されたい」という一心で意に反してハンコを押してしまう——そうやって成立した契約は、後で取り消せる可能性があります。この点はのちほど詳しく触れます。

✓ポイント
手口は「接触→侵入→圧迫→居座り」の順に進みます。どこか一つでも段階を止められれば被害は防げます。なかでも「家に入れない」段階で止めるのが最も確実です。

押し買い被害を防ぐために守りたい対策

ここからは、押し買いを寄せつけないための対策です。難しいことは必要なく、ポイントは「入れない・一人で決めない・その場で契約しない」の三つに集約されます。順に見ていきます。

身に覚えのない業者は絶対に家の中へ入れない

最大の防御は、相手を室内に入れないことです。押し買いは、家に上がり込まれた時点で一気に不利になります。

どんなに愛想がよくても、頼んでいない業者を玄関の内側に通す必要はありません。「今、手が離せない」の一言で十分です。アポイントのない訪問者は室内に入れないという原則を家族で徹底するだけで、被害の大半は防げます。遠慮しがちな親御さんには、「断るのは失礼ではない」と繰り返し伝えておくと安心です。

一人で対応せず、必ずインターホン越しで断る

対応を一人で完結させないことも、有効な守りになります。ドアを開けて直接応対すると、相手のペースに巻き込まれやすいためです。

来訪者にはまずインターホン越しに用件を尋ね、不要ならその場ではっきり断る。これを習慣にしておくと安心です。判断に迷う話なら「家族に相談してから返事します」と伝え、いったん会話を打ち切ってください。まっとうな業者ほど家族への相談を促します。逆に相談させまいと売り急がせる相手は、危険度が高いと考えられます。

どんなに魅力的な話でも、その場では絶対に契約しない

好条件の提示は、押し買いの常套手段です。「今だけ」「あなただけ」という言葉が出たら、むしろ警戒したほうが賢明といえます。

不動産の売却は、複数社の査定を比べ、家族や専門家と相談したうえで進めるのが本来の姿です。その場で結論を出さず、必ず一度持ち帰る——このルールさえ守れれば、強引な契約はほぼ避けられます。急ぐ理由をまくし立てられても、応じる義務はありません。

業者の行政処分歴を事前に確認する

相手が信用できるかどうかは、公的な情報で確かめられます。不動産を扱うには宅地建物取引業の免許が必要で、過去に問題を起こした業者は行政処分の対象になっています。

国土交通省や各都道府県は、宅地建物取引業者の免許情報や行政処分歴を確認できる仕組みを公開しています。会社名や担当者名、免許番号、連絡先を控え、少しでも不審に感じたら契約前に確認する。なお、断ったのにしつこく勧誘を続ける行為や、威圧的な言動、迷惑な時間帯の電話・訪問などは、宅地建物取引業法で禁じられています。こうした勧誘を受けたときは、状況を記録して免許行政庁に知らせることもできます。

✓ポイント
予防の要は「入れない・一人で決めない・持ち帰る」の三原則です。加えて、契約前に業者の免許や行政処分歴を調べ、不当な勧誘は記録して行政庁へ相談する構えを持っておくと、判断の精度がぐっと上がります。

参考:投資用マンションについての悪質な勧誘電話等にご注意ください|国土交通省

万が一、強引に契約させられてしまった場合の対処法

ここは特に正確な理解が欠かせない部分です。「訪問販売ならクーリング・オフで解約できる」と聞いたことのある方も多いはずですが、不動産の押し買いには、この常識がそのまま当てはまりません。誤った期待で対応が遅れると救済の機会を逃しかねないため、正しい知識を順に押さえておきましょう。

不動産の押し買いは「クーリング・オフ」の対象外

まず結論からお伝えします。個人が自宅などの不動産を業者に売却した押し買いでは、クーリング・オフによる解約は原則としてできません。ここは誤解が非常に多いところです。

理由は二つあります。一つは、押し買い(訪問購入)のクーリング・オフを定めた特定商取引法が、対象を貴金属や着物などの「物品」に限っており、不動産はそもそも適用対象外だからです。もう一つは、宅地建物取引業法にもクーリング・オフはあるものの、これは原則として、宅建業者が売主となり、宅建業者ではない人が買主となる売買契約で問題になる制度だからです。押し買いでは消費者が「売主」の立場になるため、この保護も基本的に受けられません。

つまり、貴金属や着物の押し買いなら8日間のクーリング・オフが使える一方、不動産の押し買いは制度のはざまに落ちてしまいます。「あとでクーリング・オフすればいい」という発想は、不動産では通用しない——この事実を頭に入れておくことが、正しい対処の出発点です。

消費者契約法による「取消し」ができる場合がある

では打つ手がないのかというと、そうではありません。契約の結ばれ方に問題があった場合、消費者契約法にもとづいて契約を「取り消せる」可能性があります。取消しが認められれば、契約は初めからなかったものとして扱われます。具体的には、次のような勧誘が対象です。

  • 重要な事項について事実と異なる説明を受けた(不実告知)
  • 「必ず値上がりする」など不確実なことを断定的に告げられた(断定的判断の提供)
  • 帰ってほしいと伝えたのに業者が居座った(不退去)、あるいは帰らせてもらえなかった(退去妨害)
  • 判断力の低下につけ込み、不安をあおられて契約した

これらに当てはまるなら、契約後でも取消しを主張できます。ただし、受け取った手付金や代金の返還など原状回復の問題が生じるうえ、実際に取消しが認められるかは個別の事情によります。自己判断で進めず、消費生活センターや弁護士に確認することが欠かせません。加えて期限があり、取消しの原因に気づいたときから1年、契約から5年を過ぎると権利は消滅するため、心当たりがあれば早めに動くことが肝心です。

手付解除・違約解除という選択肢

消費者契約法の取消しが難しい場合でも、契約書の内容によっては解約の道が残されています。代表的なのが「手付解除」と「違約解除」です。

手付解除は、買主から手付金を受け取っている場合に、売主がその倍額を現実に提供して契約を解除する仕組みです。ただし、原則として相手方が契約の履行に着手するまで、または契約書で定めた期限内に限られるため、契約書の条項確認が欠かせません。違約解除は、契約書に定められた違約金を支払って解除する方法です。金額や条件は契約ごとに異なるため、「売買価格の何割」と決めつけず、必ず解除条項を読み込む必要があります。いずれも金銭的な負担が生じるため、費用のかからない消費者契約法の取消しが使えないかを先に検討し、迷う場合は専門家の力を借りるのが得策です。

一人で悩まず、消費生活センターや専門家へ相談

契約してしまったとき、最もやってはいけないのが「一人で抱え込むこと」です。不動産トラブルは金額が大きく、法律も複雑に絡むため、素人判断で対応するとかえって不利になりかねません。

困ったときは、まず消費者ホットライン「188(いやや!)」へ。電話すれば最寄りの消費生活センターにつながり、同様の事例をもとに助言を受けられます。状況に応じて専門家を紹介してくれることもあります。取消しや解除の可否、違約金請求への対応など法的な判断が必要なときは弁護士へ。登記手続きが絡む場合は司法書士、提示された価格や取引条件の妥当性を確かめたいときは信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談するのが現実的です。

✓ポイント
不動産の押し買いにクーリング・オフは使えません。頼りになるのは、消費者契約法による取消し、契約書にもとづく手付解除・違約解除、そして消費生活センター(188)や専門家への相談です。取消しには「1年・5年」という期限があるため、少しでも早く相談へ動くことが、資産を守る分かれ目になります。

参考:高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません!|独立行政法人国民生活センター

まとめ:正しい知識を備えて悪質な押し買いから大切な資産を守りましょう

不動産の押し買いは、判断力の衰えや「断りにくさ」につけ込む、たちの悪いトラブルです。手口は「突然の訪問・電話で接触し、家に上がり込み、その場で契約を迫り、居座って圧力をかける」という型をたどります。だからこそ、「入れない・一人で決めない・その場で契約しない」の三原則を家族で共有しておくことが、何よりの防御になります。

そして忘れてはならないのが、不動産の押し買いにはクーリング・オフが使えないという事実です。契約後の頼みの綱は消費者契約法の取消しですが、これには期限があります。おかしいと感じたら、ためらわず消費生活センターや専門家へ相談してください。

佐賀で不動産に関するお悩みに向き合ってきた株式会社MREは、売却の適正な進め方から、押し買いのような不安なご相談まで幅広くサポートしています。「実家に業者が来ている」「提示された金額が妥当か分からない」——そんなときは、契約を急ぐ前に、まず信頼できる第三者に声をかけてみてください。正しい知識と冷静な一歩が、ご家族の大切な資産を守ります。

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