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既存不適格建築物とは?不動産売却前に知っておきたい意味と注意点

「家を売ろうと査定を頼んだら『既存不適格建築物』だと言われた」「違法建築と何が違うのかわからない」と不安を感じていませんか。言葉の響きが重いため、売れないのではないか、大幅に値下げされるのではないかと焦る方は少なくありません。

結論からお伝えすると、既存不適格建築物は違法な建物ではなく、そのままの状態でも売却できます。ただし、不適格となっている内容によっては、建替えや住宅ローン、売却価格に影響する場合があります。まずはどの規定に適合していないのかを確認したうえで、売却方法を検討することが重要です。

佐賀で不動産投資や物件調査、不動産相続、空き地・空き家の有効活用まで幅広いご相談をお受けしてきた株式会社MREがお届けする本記事では、築年数の古い戸建てやマンションを売却する際に確認が必要になることがある「既存不適格建築物」について、その意味や違法建築物との違い、売却価格への影響、そしてスムーズに売却するための注意点とポイントをわかりやすく解説します。

1. 既存不適格建築物とは?違法建築物との決定的な違い

既存不適格建築物とは、建てた時点では法律に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更によって、現在の基準に合わなくなった建物を指します。建築基準法や都市計画法は、防災や住環境の向上を目的にたびたび見直されてきました。そのため、建物そのものは何も変わっていなくても、ルールの側が変わったことで「今の基準には届かない」状態になるわけです。

たとえば、昭和の時代に建てられた実家が、その後の建築基準法の改正や都市計画の変更により、現行基準を満たさないようになるケースが代表例といえます。所有者が何か悪いことをしたわけではない点が、違法建築物との大きな違いです。

建築当時の法律では「適法」だった建物のこと

建築基準法第3条第2項では、法令の施行や改正の時点ですでに存在している建物や工事中の建物について、新しい規定を適用しないと定めています。つまり、既存不適格建築物は法律によって存在が認められた建物です。

既存不適格であるという理由だけで、直ちに違反建築物として是正を求められるわけではありません。今のまま住み続けることも、貸し出すことも可能です。ただし、建物が著しく保安上危険または衛生上有害な状態にある場合などには、建築基準法第10条にもとづき、特定行政庁から修繕・除却・使用制限などの措置を求められることがあります。「不適格」という言葉から欠陥住宅のような印象を受けがちですが、あくまで「現在の基準との間にずれがある」という意味にすぎません。

法改正や都市計画の変更で現在の基準を満たさなくなった背景

既存不適格になる原因はひとつではありません。主なパターンを表にまとめました。

※表を左右スクロールでご覧ください。

変更の内容 既存不適格になる例
用途地域・建ぺい率・容積率の見直し 指定変更で容積率が下がり、現在の延床面積が上限を超えている
高さ制限・日影規制の導入 1976年の法改正(1977年11月施行)で日影規制が創設され、条例で指定された区域の対象建築物が現行基準に適合していない
耐震基準の改正 旧耐震基準によって設計されている(新耐震基準は1981年6月1日施行)
防火地域・準防火地域の指定 指定後に求められる外壁や開口部の防火性能に届いていない
接道義務を含む都市計画区域の指定 都市計画区域などへの編入前から存在し、現在の接道要件に適合していない(42条2項道路や43条2項の認定・許可の対象となる場合もあり、個別確認が必要)

築40年を超えるような住宅では、複数の項目に同時に該当することもあります。なお、旧耐震かどうかは築年月だけでなく、確認済証などで適用された基準を確かめて判断します。ご自身の物件がどの理由で既存不適格とされているのかを知ることが、売却準備の第一歩です。

最初から法律違反をして建てられた「違法建築物」との違い

違法建築物は、建築した時点で法律に違反していた建物、または確認申請をせずに増改築して基準を超えてしまった建物を指します。両者の違いは次のとおりです。

※表を左右スクロールでご覧ください。

項目 既存不適格建築物 違法建築物
建築時の適法性 適法 違反あり
基準に合わない原因 法改正・都市計画の変更 建築主側の違反、無許可の増改築
行政からの是正命令 違反としての是正命令の対象外(著しく危険な場合などは措置の対象) 対象になりうる
住宅ローン 金融機関の判断で利用できる場合がある 利用はかなり難しい
売却 可能 可能だが買主がかなり限られる

注意したいのは、もともと既存不適格だった建物でも、その後に確認申請をせず増築やカーポートの設置などを行うと、違法建築物として扱われるおそれがある点です。

✓ポイント
既存不適格かどうかは「建てた当時に適法だったか」で判断されます。ただし過去に無許可の増改築をしていると評価が変わるため、リフォーム履歴もあわせて確認しておくと安心です。

出典:既存不適格建築物に係る指導・助言・勧告・是正命令制度について|国土交通省

2. 既存不適格建築物はそのままの状態で売却できるのか?

既存不適格建築物は、現状のまま売却できます。法律上の売却制限はなく、改修や解体をしてからでないと売れないということもありません。

ただし、売主には物件の状態を正しく伝える責任があり、買主は将来の建替えや融資の可否まで含めて購入を判断します。売れるかどうかではなく、「どう説明すれば納得して買ってもらえるか」が売却の成否を分けるポイントです。

違法ではないため現状のままでの売却は問題なく可能

違法建築物ではないため、一般的な不動産と同じように仲介での売り出しが可能です。リフォームをして見栄えを整えてから売る方法もありますが、建築確認が必要な規模の工事になると現行基準への適合を求められる場合があります。費用をかけた分だけ高く売れるとは限らないため、手を加える前に不動産会社へ相談するのが得策です。

既存不適格であることは契約前に明確に説明する

不動産会社が仲介する場合、宅地建物取引業者には宅地建物取引業法第35条にもとづき、建築基準法などによる法令上の制限を買主へ説明する義務があります。売主も、自身が把握している既存不適格の内容や増改築履歴を不動産会社へ正確に伝え、重要事項説明書や売買契約書などに反映しておくことが重要です。売主自身では何が既存不適格かの判断がつかないだけでなく、不動産業者の宅建士でも建築士ではないため、ほとんど知らないのが現実といえます。

ただ、契約書類に記載がないまま引き渡すと、契約で合意した内容と実際の物件の状態が違うとして、引渡し後に契約不適合責任をめぐるトラブルになるおそれがあります。実際の取引では、既存不適格の確認は必要なだけでなく、重要事項説明書や売買契約書などに具体的に記載し、買主の合意を得ておくことがトラブル防止の基本です。

建替えに関する制限が買主の購入判断に与える影響

既存不適格建築物で増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替えなどを行う場合、現行基準の遡及適用が問題になります。ただし、工事内容や不適格となっている規定によっては、建築基準法第86条の7などの緩和措置を利用できる場合があります。なお、2025年4月以降、2階建て木造住宅などでは、主要構造部の一種以上について過半を修繕・模様替えする「大規模の修繕・大規模の模様替」に建築確認が必要になっています。

建替えの場合は、新しい建物に現行の基準がそのまま適用されます。

そのため、「今の家をそのまま使いたい」買主にとって制限は大きな問題になりにくい一方、「いずれ全面的にリノベしたい」「建て替えたい」と考える買主にとっては購入を見送る理由になりえます。買主層によって評価が大きく分かれるのが、既存不適格建築物の特徴です。

✓ポイント
売却そのものに法的な制限はありません。既存不適格であることを契約書類に具体的に記載したうえで、建替えやリフォームへの影響を買主に丁寧に説明することが、引渡し後のトラブルを防ぐ近道になります。リフォームの可否は工事内容と緩和措置の有無で変わるため、建築士などへの確認もあわせて検討するとよいでしょう。

出典:既存不適格建築物の増築等について|国土交通省

3. 既存不適格建築物を売却する際に知っておくべき3つの注意点

既存不適格建築物の売却で押さえておきたい注意点は、価格・建替え・住宅ローンの3つです。いずれも「買主にとっての使いにくさ」につながるため、売却価格や売却期間に影響します。それぞれの中身を理解しておけば、査定額を見たときに慌てずに済むはずです。

周辺の一般的な相場よりも売却価格が安くなる傾向がある

同じエリア・同じ広さの物件と比べると、既存不適格建築物は売却価格が低くなりやすい傾向にあります。理由は、後述するリノベや建替えの制限や融資の難しさによって、購入を検討できる買主の数が絞られるためです。

どの程度安くなるかは、不適格の内容によって大きく異なります。たとえば日影規制にわずかに抵触しているだけの場合と、接道義務を満たさず再建築ができない場合とでは、影響の大きさがまったく違います。一律に「何割下がる」とはいえないため、個別の査定で確認する必要があります。

将来の建替え時に現在と同じ広さ・高さの家が建てられない

建替えをすると、新しい建物には現行の基準が適用されます。仮に、容積率200%の時代に敷地100㎡へ延床200㎡の家を建て、その後に容積率が150%へ変更されていたとします。この場合、建替え後の延床面積は150㎡までに制限され、今より狭い家しか建てられません。

高さ制限や日影規制に該当する場合も同様で、現在の3階建てが建替え後は2階建てまでになることがあります。接道義務を満たさない土地では、原則として建替えができません。ただし、幅員4m未満でも建築基準法第42条第2項の道路として扱われる場合や、第43条第2項の認定・許可によって建築できる場合もあります。「道路幅が4m未満」「接道が足りない」という情報だけで再建築不可とは判断できないため、役所での調査が欠かせません。

要件を満たせず買主が住宅ローンの審査に通りにくいケースがある

金融機関は、住宅ローンを貸す際に物件の担保価値を評価します。容積率の超過などがあると担保評価が低く見積もられ、希望額を借りられなかったり、審査そのものが通らなかったりすることがあります。

対応は金融機関ごとに異なり、既存不適格の内容によっては問題なく融資を受けられる場合もあります。とはいえ、ローンが使えなければ買主は現金購入できる人に限られてしまいます。融資が通りやすい物件かどうかは、売却期間と価格を左右する大きな判断材料になります。

✓ポイント
3つの注意点は互いに関係しており、建替えの制限が担保評価を下げ、それが買主の減少と価格の低下につながる流れになっています。自分の物件がどの段階で不利になっているかを知ることで、取るべき対策が見えてきます。

出典:接道規制のあり方について|国土交通省

4. 既存不適格建築物をスムーズに売却するためのポイント

既存不適格建築物を少しでも有利に売るには、買主の不安を先回りして解消することが大切です。不安が残ったままだと、大幅な値引き交渉や購入の見送りにつながります。そのためには情報の整理、パートナー選び、売却方法の選択という3つの準備が欠かせません。

なぜ基準を満たしていないのか理由を明確にして買主の不安を払拭する

「既存不適格です」とだけ伝えると、買主は違法建築ではないかと疑ってしまいます。建築当時は適法だったことと、どの基準にいつから合わなくなったのかを書類で示せれば、印象は大きく変わります。確認しておきたい主な書類は次のとおりです。

※表を左右スクロールでご覧ください。

書類 内容 主な確認方法
確認済証 建築確認を受けたことを示す書類 手元の原本を確認。紛失時は特定行政庁などに確認記録や証明制度の有無を問い合わせる
検査済証 完了検査に合格したことを示す書類 手元の原本を確認。紛失時は特定行政庁などに検査記録や証明制度の有無を問い合わせる
建築計画概要書 建物の配置や規模など確認申請時の概要 保存されている場合は特定行政庁などで閲覧・交付を受けられることがある
都市計画図・用途地域の履歴 用途地域や容積率が変更された時期 市町村の都市計画担当窓口

役所の証明書は確認済証や検査済証そのものを再発行するものではなく、古い建物は記録が残っておらず発行できない場合もあります。佐賀県内では、佐賀市内の物件は佐賀市の建築指導課、それ以外の市町の物件は所管の土木事務所(佐賀・東部・唐津・伊万里・杵藤)が特定行政庁の窓口です。建築計画概要書の閲覧や記録の有無は、物件の所在地を所管する窓口へ問い合わせると確実です。

あわせてホームインスペクション(住宅診断)を行い、建物の劣化状況を把握しておくことも検討できます。ただし、インスペクションは建物の法令適合性を判定するものではないため、既存不適格の内容については建築士や特定行政庁などへの確認が必要です。不適格の理由と建物の状態の両方がはっきりしていれば、買主は安心して購入を検討できます。

古い物件や訳あり物件の取り扱いに慣れた不動産会社をパートナーに選ぶ

既存不適格建築物の売却では、役所での法令調査や、買主・金融機関への説明力が結果を大きく左右します。一般的な物件しか扱わない会社だと、調査が不十分なまま売り出して後から問題が見つかったり、魅力を伝えきれず価格を下げるしかなくなったりすることがあります。

不動産会社を選ぶ際は、築古物件や再建築不可物件の売却実績があるか、建築に詳しい宅建士が物件調査を行っているか、融資の相談先を持っているかといった点を確認するとよいでしょう。複数の会社に査定を依頼し、既存不適格についての説明内容を比べてみるのも有効です。

売却活動が長引く場合は不動産買取業者への直接売却も視野に入れる

仲介で買主が見つからない場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という選択肢があります。仲介と買取の主な違いを整理しました。

※表を左右スクロールでご覧ください。

項目 仲介 買取
売却価格 相場に近い価格を目指せる 仲介より低くなる
売却までの期間 買主が見つかるまで読みにくい 条件が合えば短期間で現金化できる
契約不適合責任 契約内容による 契約内容による(個人売主と宅建業者との取引では、免責・制限する契約とする場合もある)
内覧対応 必要 原則必要

価格面では仲介に及ばないものの、早期売却を重視したい方や、相続した空き家の管理負担から解放されたい方には現実的な方法です。

✓ポイント
不適格の理由を書類で示すことで、買主の「よくわからない不安」を「納得できる条件」に変えられます。まずは仲介で売り出し、反応を見ながら買取も比較検討するという進め方が、価格とスピードのバランスを取りやすい方法です。

出典:建築確認申請等の窓口などのお知らせ|佐賀県

5. 正しい知識と適切なパートナー選びで既存不適格建築物の売却は成功する

既存不適格建築物は、建てた当時は適法だった建物であり、違法建築物とは性質がまったく異なります。そのままの状態で売却することもでき、過度に心配する必要はありません。

一方で、相場より価格が下がりやすいこと、建替え時に同じ規模の家を建てられないこと、買主の住宅ローン審査に影響しうることは、事前に理解しておくべき点です。不適格の理由を書類で明らかにし、契約書類に明記したうえで買主に説明することが、納得感のある売却につながります。

佐賀で既存不適格建築物や築年数の古い住宅の売却にお悩みの方は、ぜひ株式会社MREへご相談ください。物件調査から不動産融資のサポート、相続や個人間売買、空き家の有効活用まで、不動産に関するさまざまな課題を解決してきた経験をもとに、物件の状況に合った売却方法をご提案いたします。

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